谷口商会株式会社
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状況別対応チャート

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油を内水・海等で拡散防止する場合

水面に油が浮かび、流下して拡散しそうなときは、まずオイルフェンスを展張して、拡散をとめなければなりません。(回収はその次の段階の作業です。)
また、万一油が流出したときに備えて、あらかじめオイルフェンスを展張しておくこともあるでしょう。
いずれにしても、そこが海域なのか内水(河川湖沼 水路側溝など)なのかにより使うべきオイルフェンスは異なってきます。波の状態が海域と内水では異なり、さらに流出する油の種類も異なることが多いからです。

海域は内水に比べて、一般に波が高いので、オイルフェンスも水面上から数十cmくらいの高めの防壁がないと、簡単に油が乗り越えてしまいます。また漏洩するのは、(軽油などもありますが)原油やC重油などの粘度の高い油であることが多く、これらの油は水面下でちぎれずに変形しながらオイルフェンスの下を潜ろうとします。従ってオイルフェンスの喫水(水面下の深さ)が深いほど防除力が上がります。さらに海域は悪天候になると大きな力がオイルフェンスにかかることになるので耐久性の高さが特に要求されます。
従って、海域用のオイルフェンスは大きくて重い丈夫なものになります。最もよくみられるのは、いわゆる「オレンジフェンス」「可搬式フェンス」と呼ばれるものです。弊社でもこのタイプを取り扱っております。

他方、内水では 海域ほど波は高くないので、水面上の高さはあまり必要ありません。また、漏洩するのは軽油、A重油、作動油、食用油、ガソリンなどの低粘度油です。これらの油は、流れが速いと、いくら喫水が深くても油滴にちぎれてオイルフェンスの下を潜ってしまうので、喫水の深さはあまり役に立ちません。また、内水の水は各種の用水として利用されるので、流出事故が起きたときは海域よりも素早い対処が要求されますが、他方では事故時に十分な作業者の数が確保できるとは限りません。
従って、内水用のオイルフェンスとしては、少人数でも機動的に対処できるように、軽量で防除力が高いものを選ぶことが基本です。油流出事故というと海域での大規模事故が目立つためか、内水でも上記の海域用のオイルフェンスを採用していることが少なくないのですが、内水で大型のオイルフェンスを使うべきなのは、数年にわたって展張し続ける、油だけではなく流木なども止めなければならない、などの理由から、特に高い耐久性が要求される場合に限られます。
内水用のオイルフェンスには、機動性と防除力の両立のほかにも、様々な川幅や流速への対応、垂直な工事護岸での漏洩対策、吸着性能の併有など、独特のニーズがあります。弊社ではこのようなニーズをみたす多様なオイルフェンスをとりそろえて、御提案しております。  
いずれも軽量で機動的に使えますが、それ以外の特色については、下記の表を御参照ください。

  スミレイオイルフェンス ラピックオイルフェンス
(パラペットフェンス・ラフトフェンス)
ロングキャッチ(LC)オイルフェンス トルネットシルトフェンス
防除対象 油のみ 油のみ 油のみ 油およびシルト(濁水)
油吸着性能 有。
特に「フェンスマット」は◎。
有。
  但「パラペットフェンス」単体使用のときは無し。
有。
しかも長持ちする。
無し。
予防的な展張の可否 △ 基本的に流出時対処用だが、
エアフェンスと15φは1年程度は連続展張可能で○。
但、吸着力は半月程度しかもたない。
◎ 2年程度は連続して展張可能。
但、吸着力は半月程度しかもたない。
◎ 表面が汚濁されなければ浮力も吸着力も、
1年程度保持される。
○ 1年程度連続展張可。
速い流速への対応 ○ 但、品番により、若干の差がある。 ◎ 但、パラペットフェンスのみ単体で
使用するときはオレンジフェンスなみ。
△ 横断的に使える限界流速は秒速0.15~0.2m程度。
但、「パラペットフェンス」との併用でやや速い流速にも対応可能となる。
× 横断的に使える限界流速は秒速0.1m程度。
様々な川幅への対応 ◎ 現場調整も容易。多くの種類あり。 ○ 現場調整も容易。 △ 単体では長さに限度があるが、
「パラペットフェンス」との併用で対応可。
△ 長さを指定して、あらかじめ対応することは可能。
垂直護岸への対応 ○ 可能。 ◎ 容易。 △ 流速が速いと困難だが、
パラペットフェンスとの併用で対応可。
△ 流速が速いと困難。

スミレイオイルフェンス ラピックオイルフェンス
(パラペットフェンス・ラフトフェンス)
ロングキャッチ(LC)オイルフェンス トルネットシルトフェンス

コラム

「エントレインメント(entrainment)」現象

河川などの水面に浮かんだ油がオイルフェンスで止められるているときには、オイルフェンスの前後に乱流や小さな渦巻きが発生します。軽油、灯油、A重油、作動油、エンジンオイル、ガソリンなどの粘度の低い油の場合には、油がこの乱流や渦巻きにより水中に引き込まれて小さな油玉になって漂い、その油玉がオイルフェンスの下を潜り抜けていきます。

このentrainment現象はフェンスの上流部に浮いている油量が多いほど、また風などによる波が大きいほど起きやすくなります。しかし最も影響するのは「対オイルフェンス直角相対流速」(左図※)です。
これは、いわゆる「流速」のうち、オイルフェンスに対して直角に作用するベクトル成分であり、左図との関係で次式で算出されるものです。

対オイルフェンス直角相対流速 = 流速 × sinθ

たとえば、毎秒30cmの流れに対してオイルフェンスを岸との間で30°の角度で展張すると「対オイルフェンス直角相対流速」は毎秒15cmとなります。
そして、この「対オイルフェンス直角相対流速」がおよそ毎秒20cm(=時速700m=0.4ノット)を越えると、ほとんどのオイルフェンスでは漏洩が始まります。(なお、漏洩が目視で明白になる流速は、もう少し大きな値です。)

但、喫水が浅いオイルフェンスと深いオイルフェンスでは、更に違いがあります。
喫水の浅いオイルフェンスでは、水面近くでも流れが速く、そのせんだん力によって油層が油滴に引きちぎられてオイルフェンスの下を潜っていきます。他方、喫水の深いオイルフフェンスは水面の流れを遅くすることができるので、せんだん力はあまり働きません。しかし水面近くに作られた遅い流れと、水底の速い流れの間の圧力差により、水面から水底にむかって深い渦が発生します。油はその「渦」に巻きこまれて水中に引き込まれ、オイルフェンスをくぐり抜けてしまうのです。
 低粘度油の流下拡散を速い流れで防ぐには適切な資材の選択だけでなく、使い方(工法)も重要となります。詳しくは弊社までお問い合わせ下さい。

長く敷設できる油吸着材のすべてがオイルフェンスではない

つなぎ合わせることで長く敷設できる油吸着材のすべてがオイルフェンスではないことにも注意してください。
油の流下拡散をとめるには「油を吸着した後で流れのある水面に敷設し続けていても水没しないほどの浮力」と「吸着材にすきまがなく 接続部分が密着していて 油が漏れ出さないこと」が必要です。
長尺な形状であっても この条件を満たさないものも市販されています。これらはあくまでも油を吸着回収するための資材であって 止めるための資材にはなりえません。
(なお、上記の表中の製品はすべて 油を止めることができる「オイルフェンス」です。)

フェンスを使おうとしても現場の水路幅が狭すぎる場合、たとえば側溝などでは下記のような方法があります。

  • ピロータイプの吸着材を詰め込んで油を止める。但し、溝幅40cm程度まで。
  • 油を吸着するマットのうちでも特に浮力と吸着力が強い「セッターマット」(微細孔系のものがこれにあたります)を紐に引っ掛けてダブルクリップなどでとめ、即席の短いフェンスマットを作る。
  • 微細孔系吸着材を網袋に入れたものを側溝の中につめこむ。

弊社では、上記の「ピロータイプの吸着材」として カポックピロー、「セッターマット」としてスミレイオイルマット、「網袋入り微細孔系吸着材」として、スミレイ濾過吸着袋を御用意しております。

  • カポックピロー
  • スミレイオイルマット
  • スミレイ濾過吸着袋

専用資材がないときには 下記のような方法で間に合わせることも考えなければなりません。

  • 土嚢でアンダーフローダムを作る。
  • ペットボトルオイルフェンスを自作する。

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