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状況別対応チャート

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油を分解する場合

油を分解する、という機能をうたった商品は、世の中に数多くあります。
しかし、多くは「分解するまでに相当な時間がかかる」「分解するときに酸素を消費する」「分解するまでに拡散してしまう危険がある」という事実に十分な配慮があるとはいえません。
「油を分解する」という処理は、その油が移動する可能性が低く、周囲の酸素を消費してもよく、十分な時間をかけてもよいという場面に限って、選択の余地があるのです。
そのような条件を考えると「分解」が選択肢になりうるのは、(油水分離槽、オイルピットの他は)土壌、海、および、回収された吸着材に吸着された油分を管理しながら処理する場合などに限られるのではないでしょうか。

オイルピットについては「オイルピット・トラップの油を分解する場合」を御覧ください。

土壌汚染への対応については、資材の選定というよりも工法の選定の問題であり、工事を業務としない弊社では詳細な説明が出来ませんので、概要のみご案内いたします。

コラム

土壌の油汚染対策技術のあれこれ

  • 油濁土壌

    油濁土壌

  • 土壌の油汚染に対しては様々な工法、たとえば土壌ごと焼却する、過酸化物によるラジカル分解、水による洗浄、微生物分解などの回復技術が、さまざまな企業や研究機関から提案されています。ちなみにこれらのいずれの工法についても、

    • ①掘り出した土壌を工場まで持参して処理する。
    • ②現場に資機材をもちこみ掘り出した土壌をその場で処理する。
    • ③土壌を掘り出さないで処理する。
  • 石垣から油

    石垣から油

  • という方式がありえますが、一般に、番号の若いものほど処理コストがかかるかわりに確実・迅速な処理が可能になる傾向があります。逆に言えば、後にいくほど、簡易で低コストですが、精密な除去が難しくなる、あるいは処理が長期化しがちです。
    従来は、工場まで汚染土壌を運んで焼却処理する方法が主流でしたが焼却残渣が「燃え殻」として産業廃棄物になり、その処分場所が少なくなりつつあること、運搬中の拡散の危険、そもそも土を掘り取ることができない場所の除染には対応できないことなどから他の処理方法への期待も高まっています。その中でも注目されつつあるのが微生物分解と水洗浄、それも現地で処理する②または③の方式です。微生物分解(バイオレメディエーション)処理は時間が掛かりがちなので(上記③の方式の場合には、特に処理が長期化する可能性があります) 復旧があまり急がれていない汚染現場で採用されます。

海においては、原油やC重油などの高粘度油が流出したときに、液体状の油処理剤(鉱油と界面活性剤の混合物)を散布して、油を細かな粒子に乳化分散させ、紫外線や微生物による分解を待つ、という工法がとられることがあります。ただ、この工法は油を海底に沈めて、海草や貝などに付着させてしまう危険もあります。(尚、内水では一般的に忌避される方向に進んでいることには、御注意ください。)

コラム

油処理剤・油中和剤・油分解剤ってナニ? 本当に油を分解する?

このような呼称をつけられた商品には液体のものと固体のものがありますが、いずれにしても微生物のはたらきによる分解を待つものなので短期で油がなくなることはありません。
液体タイプには界面活性剤を主剤とするものと軽質油を主剤とするものの2種類があります。これらはいずれも油を細かな油滴(粒)にして乳化分散させるものでありそれ以上のものではありません。こうしておけばバクテリアが油を分解(「資化」などという専門用語を使うこともありますが要するに食べることです)しやすくなる、ということです。
固体タイプは植物繊維(粉砕した殻果や木材、コケなど)に油を分解する微生物を付着させたもので油を吸着しつつ分解するという効力をうたうものがほとんどです。

油処理剤の使用については、水域の油を分解させる場面と、地中の油を分解させる場面が考えられます。

まずは水域の油について説明したいと思います。液体タイプあるいは固体タイプのいずれを使った場合でも水面の油膜は消えます。しかしこれは油膜を散らしまた水中に乳化分散させ、あるいは水中に油を引き込んで見えなくさせただけです。油は数週間から数か月の間微生物分解が終わるまで水中にとどまり続けます。あるいは水面に(川などでは下流に)再浮上することもあります。また微生物分解する場合水中の溶 存酸素を消費してしまいます。これがひどいといわゆる「腐水」となります。従って河川などの内水では、できれば使わないほうが水質の保全には好ましいといえます。ちなみに水中の油を瞬間的に分解させる技術としては過酸化物(オゾンなど)による化学的酸化分解が考えられていますが油事故現場のような解放された環境の中で行うものではありません。

液体タイプのものは本来は外洋における油流出事故で使用されることを予定されたものです。外洋で流出する油はほとんどが原油やC重油などの粘度の高い油です。これらは放置しておくとオイルボールと呼ばれる半固体状のものになって水中に沈み汚染を長期化させる危険があります。従ってこれらを柔らかく膨潤させておいて小さな粒に分裂させ 水面や水中に浮かぶようにしておき紫外線やバクテリアによって分解しやすいようにしておく意味があるのです。しかも外洋の海水は大量である上に生活・農業・工業用水のいずれにも利用することはありませんから少々油が混ざっていても問題はないのです。しかし近海においては近時 使用が控えられる傾向にあり、使用する場合も周辺漁民の理解を得てから、という指導がなされています。
固体タイプのものは油を吸着して水底に沈むものです。拡散を防ぎながら、環境に強い負荷を与えないように水底で少しづつ油を分解するというものですが、よほど吸着力の強いものでないと、すぐに油を再放出して汚染を広げ、溶存酸素量の急低下を招くなど、ねらった効果は表れないでしょう。

では地中の油はどうでしょうか。
液体タイプのものは地表の油を地中にしみ込ませて地下水に乗せて拡散させてしまう危険があるので 使用しないほうがよいといえます。
他方固体タイプのものを使って地中の油を分解することは 水中の場合よりも環境に与える影響も少ないので拡散防止に留意すれば技術的にも法律的にも許容されると思われます。但し、油の分解に外来微生物を利用するタイプのものについては既存の生 態系を乱す危険があることから、「微生物によるバイオレメディエーション利用指針について(産業構造審議会 中央環境審議会)」でガイドラインも設定されています。

また、製品の中に油分解微生物を含有するタイプの資材は、長く保管していると微生物が不活化(ひらたくいえば死んでしまうこと)して、本来の効果がなくなることにも注意してください。

油吸着材の中には、土壌微生物を住まわせて、自身が吸着した油を、分解したり揮発させたりして消滅させる機能をもつものもあります。
ただ、このような処理は吸着材から油が再放出された時も広く拡散しないように管理しながら慎重に行ってください。

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